知っておきたいビタミン・ミネラルの働き
知っておきたいビタミン・ミネラルの働き
知っておきたいビタミン・ミネラルの働き |
栄養成分の基礎中の基礎とも言えるビタミン・ミネラル類。種類と所要量の目安、体内での働きを知り、適切な使用を心掛けましょう。 |
適正摂取量に気をつけたい脂溶性ビタミン | |||
名称 | 一日の栄養所要量 ()内はの上限摂取量 |
体内での働き | 不足すると |
ビタミンA | 男 2000IU 女 1800IU (上限 5000IU) |
粘膜の形成や機能に大きく関わっており、皮膚や細胞を健康にし、視力を正常に保つ働きがある。 | 暗い所で物が見にくくなる。気管支炎が荒れ風邪をひきやすくなる。体がだるくなり、皮膚が荒れる。 |
ビタミンD | 100IU 上限(2000IU) | カルシウムの吸収を助け、骨の発育を促進。血液中のカルシウム量を一定に保つ作用がある。 | 不安・過敏などの精神的な症状が。進行すると脊椎過剰湾曲、くる病など骨がモロくなる。 |
ビタミンE | 男 10mg 女 8mg (上限 600mg/α-トコフェロール当量) |
細胞の酸化や老化を防ぎ、過酸化脂質の生成を抑え血管を強化する。脳の活性化や生殖能力を高める働きもある。 | 細胞の老化が進行し、シミやソバカスができやすくなる。赤血球膜が弱くなるため、溶血性貧血を起こしやすくなる。 |
ビタミンK1 | 男 65μg 女 55μg (上限 3000μg)(ビタミンKとして) |
血液を凝固させるプロトロンビンなどの形成に不可欠。 | 血が止まりにくくなる。臓器出血や新生児の場合、出血性疾患などを起こす。 |
ビタミンK2 | 男 65μg 女 55μg (上限 30000μg)(ビタミンKとして) |
骨の発育を促進する。破骨細胞の働きを遅らせ、骨粗鬆症を予防・治療する。 | 骨粗鬆症になりやすくなる。 |
水に溶けて排泄されやすく、欠乏しやすい水溶性ビタミン | |||
名称 | 一日の栄養所要量 ()内はの上限摂取量 |
体内での働き | 不足すると |
ビタミンB1 | 男 1.1mg 女 0.8mg |
エネルギーをつくりだす糖質の代謝に不可欠な物質。体を動かすことによって消費量も増える。精神の安定を保つ作用も。 | 末梢神経がおかされるため、足がしびれたり、疲労感、動悸・息切れやむくむこともある。食欲も減退する。 |
ビタミンB2 | 男 1.2mg 女 1.0mg | 目や皮膚、口・鼻の粘膜の健康を保ち、正常に機能するように作用。成長促進や細胞の再生にも不可欠。体質を強化する。 | 粘膜や皮膚が敏感になるため、口の中や口角が荒れる。目尻のただれや目の充血、視力低下を招くことも。 |
ナイアシン | 男 16~17mg 女 13mg (上限 30mg) |
細胞の代謝や遺伝子の修復、インスリンの合成などに関係。血液循環をよくしコレステロールを低下させる働きもある。 | 口の中に水疱ができたり、舌が荒れるため食欲不振や消化不良、下痢などを起こす。イライラしたり、頭痛、めまり、不眠も。 |
パントテン酸 | 5mg |
糖分やたんぱく質の代謝酵素・コエンザイムの材料。中枢神経の発達を促し、副腎皮質の働きを強化、解毒作用も。 | 血圧が低くなり、脈も弱くなって、眠気やめまい、疲労感、食欲不振に。足にヤケドのような痛みを生じることも。 |
ビタミンB6 | 男 1.6mg 女 1.2mg (上限 100mg) |
たんぱく質や脂肪の吸収・代謝を助け、体内のたんぱく質合成に不可欠な物質。中枢神経系を正常に働かせる。 | 目や鼻や口、耳のまわりに皮膚のただれや神経炎を起こす。虫歯になりやすく、むくみや貧血も。成長が止まることもある。 |
葉酸 | 200μg (上限 1000μg) |
たんぱく質や糖質の代謝を助け、ヘモグロビンや赤血球、核酸の合成に関与。特に妊娠時や授乳時には摂取が必要。 | 出血が頻繁になり、大赤血球貧血になることも。口の中や舌がただれ、おなかの調子が悪くなる。 |
ビタミンB12 | 2.4μg |
たんぱく質や核酸の代謝を助け成長を促進。赤血球の生成を促し貧血を防ぐ。葉酸、ビタミンCとともに摂取を。 | 立ちくらみやめまいがしたり、汗が出ない(もしくは多汗)など、代謝バランスが崩れる。 |
ビオチン | 30μg |
アミノ酸や脂肪酸の代謝を助けるほか、甲状腺や生殖器官、神経・皮膚組織を正常に保つ働きがある。 | 皮膚が炎症を起こしやすくなる。疲れやすく、やる気が起こらなくなり、脂肪の代謝も悪くなる。 |
ビタミンC | 100mg |
血管、骨、筋肉の形成に必要なコラーゲンの生成を促進し、免疫力も高める。日焼け予防や鉄の吸収を助ける働きも。 | 皮下出血や成長不良を起こしたり、骨折しやすくなる。免疫力が低下するため、風邪や炎症にかかりやすくなる。 |
骨や歯の形成、心臓、血液などの体の機能の維持や調節に必要なミネラル | |||
名称 | 一日の栄養所要量 ()内はの上限摂取量 |
体内での働き | 不足すると |
カルシウム | 男 600~700mg 女 600mg (上限 2500mg) |
骨や歯の形成に不可欠な成分。血液の凝固を助けたり、筋肉や神経を正常にする作用も。 | イライラして神経が過敏になる。歯や骨がもろくなり、成長が不十分になることも。 |
鉄 | 男 10mg 女 12mg (上限 40mg) | 赤血球(ヘモグロビン)の構成成分で、各細胞へ酸素を運ぶ役割をになう。成長促進や免疫にも関与する。 | 皮膚が蒼白色になり、息切れを起こす。また、疲れやすくなり、忘れっぽくなる。 |
マグネシウム | 男 300~320mg 女 250~260mg (上限 650~700mg) |
糖質の代謝を助け、心臓や血管系を健康に保つ。また刺激による筋肉や神経の興奮を正常に戻す役目をになう。 | けいれんやふるえを起こす。思考力や集中力が低下することも。 |
リン | 700mg (上限 4000mg) |
血液中の酸やアルカリを中和し、糖質の代謝を円滑にする。体内のカルシウムバランスを保つ役目も果たす。 | 摂取する食品中に十分含まれるため、不足することはないが、ビタミンDの不足はリンの利用率を悪くする。 |
カリウム | 2000mg |
主に細胞の内側の体液に含まれ、その濃度を調整している。筋肉がエネルギーをつくりだすときにも不可欠。 | 筋肉が低下し、条件反射などが緩慢に。脈が飛んだり、腸の働きがスムーズでなくなる。 |
ナトリウム | 10g以下 (食塩として) |
血液や細胞間液など、細胞の外側の体液中に存在し、それらの濃度を調整する。 | 消化液の分泌が減退するため、食欲がなくなる。大量の発汗をみる。全身的なだるさやめまい。嘔吐も。 |
マンガン | 男 4.0mg 女 3.0~3.5mg (上限 10mg) |
骨の形成を促進し、肝臓や骨の酵素作用を活性化する。疲労やイライラをやわらげ、記憶力を増進させる。 | 骨や軟骨の発育が阻害される。傷の治りが悪く、慢性的に疲労感が。 |
亜鉛 | 男 11~12mg 女 9~10mg (上限 30mg) |
細胞分裂に不可欠な元素。皮膚、骨格、味覚、生殖器官の発達や維持に関与し、有害金属から人体を守る働きも。 | 成長期に不足するといろいろな弊害がでる。傷や病気の回復が遅れ、味覚を感じられなくなる。 |
銅 | 男 1.8mg 女 1.6mg (上限 9mg) |
体内でのヘモグロビン合成を促進。鉄の吸収を助ける。 | ヘモグロビンが減少するため、貧血を起こしやすくなる。また骨折しやすくなる。 |
ヨード | 150μg |
成長を促進し、成人では基礎代謝を盛んにする。髪や爪・皮膚を健康に保つよう作用。甲状腺ホルモンの成分。 | 疲れやすく、肥満ぎみに。新陳代謝が損なわれ甲状腺肥大になることも。 |
コバルト | ビタミンB12の構成元素。骨髄での造血に不可欠な物質で、赤血球・血色素の生成を促す。 | 立ちくらみや顔面蒼白など貧血ぎみになる。 | |
セレン | 男 50~60μg 女 45μg (上限 250μg) |
ビタミンEとともに体内の酸化を防ぐ抗酸化物質として働き、組織の硬化・老化を防止する。 | 成長が阻害され、免疫力が低下する。心筋症の一種の克山病の原因ともなる。 |